● お子さまに多い主な病気 ●
*伝染性紅斑(りんご病)*
伝染性紅斑は、頬、上下肢に発疹が見られるのが特徴の病気で、小児を中心として流行しますが、時に成人もかかります 頬に発疹が出てりんごのほっぺに似ているため、日本では"りんご病"と呼ばれています。英語ではslapped cheek disease(ほっぺたひっぱたかれ病?)と呼ばれています。
【病因】
パルボウィルスB19というウィルスの感染が原因です。
聞きなれない名前ですが、日本では0~4歳で10%、20~30歳台で30~40%、50歳以上で76%の人が抗体を持っています。(感染の経験があります。)
感染を受けても症状が出ない不顕性感染が約20%に見られるといわれています。
【臨床症状】
感染初期には発熱とともに筋肉痛や頭痛、関節痛、軽いかぜ症状(のどの痛み、咳)、消化器症状(下痢、嘔吐)などが出現します。これらの症状は非常に軽くて気づかれない場合もあります。その後4~7日頃に発疹が出現します。
発疹は顔の蝶形の紅斑と全身、特に四肢の紅斑が中心です。
顔から始まって1~2日遅れて四肢に拡がることが多く、紅斑は次第に融合してレース状、網目状、環状になっていきます。かゆみや熱感を伴うこともあります。発疹は数日から1週間ほどで軽快しますが、その後数ヶ月にわたって日光に当たったりこすれたりすると再出現することがあります。
【治療】
全身状態が悪化することはなく予後も良好なので特別な治療を必要としません。対症療法として、かゆみの強い場合には抗ヒスタミン剤、頭痛や関節痛には消炎鎮痛剤などを使用することがあります。
【その他の注意】
発疹が出現するのは感染してから16~18日後ですが、この頃にはもうウィルスの排泄はないとされていますので、りんご病と診断されてから人との接触を避ける必要はないと考えられています。ただし溶血性貧血の患者さんは症状が悪化する恐れがあり、また妊娠中に罹ると流産や死産の可能性が高くなることが知られていますので、このような方々は流行の際には注意が必要です。