● お子さまに多い主な病気 ●
*おたふくかぜ*
流行性耳下腺炎、ムンプスとも呼びます。ムンプスウィルスの飛沫感染によって起こり、潜伏期は2~3週間です。 罹ったことがなければ成人でも感染することがあります。
【症状】
耳下腺(耳の下の唾液腺)や顎下腺(顎の下の唾液腺)が腫れて痛みます。
多くの場合は右と左の耳下腺が同時に腫れますが、片側ずつ順番に腫れたり、片側だけで終わることもあります。熱は出ることも出ないこともあります。
【治療】
おたふくかぜを治すための特別な治療はありません。
熱や痛みがつらければ解熱鎮痛剤を使います。
痛みが強いときは、冷やしたり、湿布薬を使うと改善することがあります。
酸っぱい食べ物や味の濃い食べ物は痛みを強くするので避けた方がいいでしょう。
【合併症】
・無菌性髄膜炎
ムンプスウィルスは中枢神経に親和性があり、髄膜炎、脳炎などの神経症状をもたらすことがあります。髄膜炎の主症状は高熱、頭痛、嘔吐です。
頻度は1%から10%程度で予後は良好ですが、髄膜炎が起こると入院が必要になる場合があります。
・難聴
おたふくかぜの後遺症として難聴が起こることがあります。
多くの場合は片側だけなのでその時には気がつかないことがありますが、一度起こると残念ながら治療法はありません。成人になってから気付く原因不明の難聴の多くはおたふくかぜによるものと考えられています。
・睾丸炎、卵巣炎、膵炎
思春期を過ぎてからおたふくかぜに罹ると、男性では睾丸炎、女性では卵巣炎を起こすことがあります。睾丸炎、卵巣炎の多くは片側性なので不妊の原因となる頻度は高くはありません。
膵炎はまれな合併症ですが、激烈な腹痛、嘔吐、下痢が起こります。
【予防法】
予防接種を受けると、感染を防ぐか軽く済ますことができます。
日本では今のところ任意接種ですが、国際的にはほとんどの先進国で接種されています。集団生活に入る前に受けておくことをお勧めします。