さとう小児科

お子さまに多い病気

おたふくかぜ

流行性耳下腺炎、ムンプスとも呼びます。
ムンプスウィルスの飛沫感染によって起こり、潜伏期は2~3週間です。罹ったことがなければ成人でも感染することがあります。

【症状】
耳下腺(耳の下の唾液腺)や顎下腺(顎の下の唾液腺)が腫れて痛みます。 多くの場合は右と左の耳下腺が同時に腫れますが、片側ずつ順番に腫れたり、片側だけで終わることもあります。
熱は出ることも出ないこともあります。

【治療】
おたふくかぜを治すための特別な治療はありません。
熱や痛みがつらければ解熱鎮痛剤を使います。
痛みが強いときは、冷やしたり、湿布薬を使うと改善することがあります。
酸っぱい食べ物や味の濃い食べ物は痛みを強くするので避けた方がいいでしょう。

おたふくかぜ

【合併症】
・無菌性髄膜炎 ムンプスウィルスは中枢神経に親和性があり、髄膜炎、脳炎などの神経症状をもたらすことがあります。髄膜炎の主症状は高熱、頭痛、嘔吐です。
頻度は1%から10%程度で予後は良好ですが、髄膜炎が起こると入院が必要になる場合があります。
・難聴 おたふくかぜの後遺症として難聴が起こることがあります。
多くの場合は片側だけなのでその時には気がつかないことがありますが、一度起こると残念ながら治療法はありません。
成人になってから気付く原因不明の難聴の多くはおたふくかぜによるものと考えられています。
・睾丸炎、卵巣炎、膵炎 思春期を過ぎてからおたふくかぜに罹ると、男性では睾丸炎、女性では卵巣炎を起こすことがあります。
睾丸炎、卵巣炎の多くは片側性なので不妊の原因となる頻度は高くはありません。
膵炎はまれな合併症ですが、激烈な腹痛、嘔吐、下痢が起こります。

【予防法】
予防接種を受けると、感染を防ぐか軽く済ますことができます。 日本では今のところ任意接種ですが、国際的にはほとんどの先進国で接種されています。
集団生活に入る前に受けておくことをお勧めします。

水痘(みずぼうそう)

水痘ウィルスの感染によって起きる病気です。
潜伏期は2~3週間です。感染経路としては、水疱の中にウィルスがいますが、直接発疹に触れなくても飛沫でも感染します。感染力は非常に強く、兄弟間では100%近くうつるといわれています。
水痘ウィルスは一度感染すると終生体内に潜んでいて、将来免疫力が落ちたときなどに帯状疱疹という病気を起こすことがあります。

【症状】
虫刺されのような赤い発疹が次々と出てきて中心部に水疱をつくります。
水疱ははじめ透明ですが、だんだん濁ってきて、最後にかさぶたになります。頭や口の中にも水疱が出てきます。熱は水疱の出始めから数日間出ることもありますが出ないこともあります。全部の発疹がかさぶたになるまで伝染する可能性があり集団生活はお休みです。水疱を掻いてしまうと化膿して痕が残ることがありますので気をつけましょう。
また非常に希ですが合併症として肺炎や脳炎を併発することがあります。

【治療】
水痘ウィルスの増殖を抑える抗ウィルス剤の飲み薬があります。
またかゆみを抑えて水疱の乾きを早める塗り薬やかゆみ止めの飲み薬を使用することがあります。
水痘は多くは自然に治る病気ですが、抗ウィルス剤を服用することで軽症化させることが出来ます。

さとう小児科 こどもに多い病気

【予防】
水痘ワクチンを接種することにより予防できます。
2014年10月から任意接種から定期接種に移行され、接種対象者は公費(無料)で接種することができるようになりました。

【家庭での注意】
かゆいので引っかくと、発疹が化膿することがあります。 爪は短く切って、できるだけ掻かないように気をつけましょう。
学校保健法ではすべての発疹がかさぶたになるまで学校、幼稚園はお休みすることになっています。熱がなければ入浴はかまいませんが、水疱は破れやすいのでこすらないように気をつけましょう。

手足口病

手、足、口に発疹がでる病気です。
英語でもHand-Foot-Mouth Diseaseと言われています。夏に流行することが多く、夏かぜの一つといえます。

【原因】
主な病原はコクサッキーウィルスA16とエンテロウィルス71です。 コクサッキーウィルスA10による流行も時に見られます。
潜伏期は3~7日で、唾液や便を介して感染します。

【症状】
手のひら、足の裏に平らな楕円形の赤黒い水疱のような発疹が出現します。
ひじ、ひざ、おしりにも発疹が出ることがよくあります。 発疹は数日で茶色くなって吸収され、かさぶたになることはあまりありません。口の中に直径2~3ミリの粘膜疹(口内炎)が多数出現します。歯ぐき、舌、のど、頬の粘膜のどこにでも出現します。 口内炎の痛みのために食欲が落ち、脱水の原因となることもあります。
発熱はあまり多くなく、あっても38℃台程度で1~3日でおさまります。

手足口病

【治療】
手足口病を治すための特別な治療はありません。
痛みを和らげたり、熱を下げたり、といった対症療法が中心となります。

【経過】
通常は自然に治る病気ですので、水分がとれていれば心配はいりません。
全身状態がよければ学校や幼稚園に行ってもかまわないことになっています。
(できれば食欲が戻るまで自宅で様子を見たほうがよいでしょう。)

以前海外で手足口病の合併症として脳炎が起こり多数の死亡者が出て問題になったことがあります。日本でもまれに脳炎の報告があります。
一般的には自然に治る軽い病気ですが、ぐったりして元気がない、頭痛を訴えて頻回に吐く、意識がおかしい、などといった症状が見られるときは早めに受診してください。

伝染性紅斑(りんご病)

伝染性紅斑は、頬、上下肢に発疹が見られるのが特徴の病気で、小児を中心として流行しますが、時に成人もかかります 頬に発疹が出てりんごのほっぺに似ているため、日本では"りんご病"と呼ばれています。
英語ではslapped cheek disease(ほっぺたひっぱたかれ病?)と呼ばれています。

【病因】
パルボウィルスB19というウィルスの感染が原因です。
聞きなれない名前ですが、日本では0~4歳で10%、20~30歳台で30~40%、50歳以上で76%の人が抗体を持っています。(感染の経験があります。) 感染を受けても症状が出ない不顕性感染が約20%に見られるといわれています。

【臨床症状】
感染初期には発熱とともに筋肉痛や頭痛、関節痛、軽いかぜ症状(のどの痛み、咳)、消化器症状(下痢、嘔吐)などが出現します。これらの症状は非常に軽くて気づかれない場合もあります。その後4~7日頃に発疹が出現します。 発疹は顔の蝶形の紅斑と全身、特に四肢の紅斑が中心です。
顔から始まって1~2日遅れて四肢に拡がることが多く、紅斑は次第に融合してレース状、網目状、環状になっていきます。かゆみや熱感を伴うこともあります。
発疹は数日から1週間ほどで軽快しますが、その後数ヶ月にわたって日光に当たったりこすれたりすると再出現することがあります。

りんご病

【治療】
全身状態が悪化することはなく予後も良好なので特別な治療を必要としません。
対症療法として、かゆみの強い場合には抗ヒスタミン剤、頭痛や関節痛には消炎鎮痛剤などを使用することがあります。

【その他の注意】
発疹が出現するのは感染してから16~18日後ですが、この頃にはもうウィルスの排泄はないとされていますので、りんご病と診断されてから人との接触を避ける必要はないと考えられています。
ただし溶血性貧血の患者さんは症状が悪化する恐れがあり、また妊娠中に罹ると流産や死産の可能性が高くなることが知られていますので、このような方々は流行の際には注意が必要です。

ノロウィルス感染症

ノロウィルス感染症の流行がマスコミで報道されていて、心配されている方が多いのではと思います。

【ノロウィルスとは】
ノロウィルスは感染性胃腸炎の原因として代表的なウィルスで、流行は通年性に見られますが、特に冬季に流行のピークがあります。
以前は小型球形ウィルス、SRSV、ノーウォーク様ウィルスなどという名で呼ばれていました。
特別変わったウィルスというわけではなく、以前から存在していましたが、2002年に呼び名が変わったり、例年より流行の規模が大きかったため、急に世間の関心を集めることになってしまいました。

【症状・経過・治療】
嘔吐、下痢、軽度の発熱が主な症状で、感染性胃腸炎の中では比較的軽症のことが多く、むやみに恐れる必要はありません。潜伏期は1日から2日で、便や吐物から経口で感染します。
下痢便や吐物のなかに大量にウィルスが存在しますので注意が必要です。
症状の持続日数は1~3日で、予後は良好です。時に5日間ぐらい続くこともあります。
ノロウィルスに対する抗ウィルス薬はまだありませんので、治療は症状を和らげる対症療法となります。吐気止め、解熱鎮痛剤、整腸剤、脱水があれば補液などです。
嘔吐は1日でおさまることが多く、補液が必要なほどの脱水になることは比較的少ないといえます。

【詳しい情報は】
厚生労働省からノロウィルスについてのQ&Aが出ています。 アドレスは下記の通りです。 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html#02 プリントしたものが待合室に置いてありますのでご覧ください。

溶連菌感染症

A群溶血性レンサ球菌(略して溶連菌)という細菌の感染で起こります。
以前は猩紅熱と言っていましたが、最近は溶連菌感染症と言うことが多くなりました。
溶連菌が産生する毒素や菌体の成分が複雑に関係して全身に様々な障害(急性糸球体腎炎、リウマチ熱など)を起こすことがあるので注意が必要な病気です。

【症状】
潜伏期は2~5日です。発熱、のどの痛みが主な症状です。腹痛や嘔吐がみられることもあります。小さな赤い発疹が全身に拡がってきます。
舌の表面が赤くざらざらして苺の表面のようになることがあります(苺舌)。
発疹は4~5日で薄れてきて、フケのように皮が細かくむけたり、指先の皮がむけたりすることがあります。
のどが赤いだけで発疹が出ないこともあります。
合併症として数週から1ヵ月後に急性糸球体腎炎が起きることがあります。
血尿、蛋白尿、高血圧、浮腫などが主な症状で、尿が赤くなり、むくみ、頭痛、嘔吐、倦怠感などがみられます。まれにリウマチ熱という病気が起こることもありますが、抗生剤の普及で最近はほとんどみられなくなりました。

【診断】
のどをぬぐって溶連菌の有無を15分程度で確認できる迅速検査があります。
培養して溶連菌を確認する方法もありますが、結果が出るまで3~4日かかるので、最近は迅速検査で即日に診断することが多くなりました。

溶連菌感染症

【治療】
溶連菌に効く抗生剤を内服することで治療します。
通常、薬を飲んで翌日には熱が出なくなり他の症状も軽くなってきます。
溶連菌の感染力は2~3日でなくなりますが、完全に除菌するために通常は 抗生剤を10日間ほど内服する必要があります。
急性糸球体腎炎が起きていないかどうか確認するために、2~3週間後に検尿することがあります。

【他の人への感染】
兄弟への感染率は5%程度です。時に成人にも感染することがあります。
以前は兄弟に抗生剤を予防投与していたことがありましたが、最近は発症してからきちんと治療したほうがよいと考えられています。

ヘルパンギーナ

のどに発疹が出て痛くなるのが特徴的な流行性の病気で、突然の発熱ではじまります。
流行のピークは初夏であり、いわゆる夏かぜの代表です。 集団生活をしている幼稚園児や保育園児に目立つ病気です。

【原因】
病原はコクサッキーウィルスA群、コクサッキーウィルスB群、エコーウィルスなどのウィルスです。 病原は複数あるので何回も罹ることがありますが、段々軽くなり、大人が罹ることはまれです。潜伏期は2~5日といわれています。

【症状】
高熱が1-3日続きます。
のどの奥に小さな水疱が多数出て、痛みのために食欲が落ちます。 のどが痛いため唾液を飲みにくく、よだれが増えることがあります。 不機嫌、よく眠らない、泣くなどの不定の症状が見られることもあります。 吐気や軽度の下痢も伴うことがあります。

ヘルパンギーナ

【治療】
ヘルパンギーナを治すための特別な治療はありません。 熱を下げたり、痛みを和らげたり、といった対症療法が中心となります。 発熱が続くときは、脱水にならないように水分摂取を心がけましょう。

【経過】
通常は自然に治る病気ですので高い熱が出ていても原因がはっきりしていればあまり心配は要りません。幼稚園や学校は熱が下がるまでお休みしましょう。
まれに髄膜炎、脳炎、心筋炎などの合併症を起こすことがありますので、ぐったりして元気がない、頭痛を訴えて頻回に吐く、といった強い症状が見られるときは早めに受診してください。

小児アトピー性皮膚炎

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